虫歯予防

当院における虫歯と歯周病の予防の取り組みをまとめたのでご覧下さい

虫歯を防ぐためには…

お口の健康には、虫歯予防と歯周病予防が大切です。
ところで、虫歯(専門用語では「う蝕」といいます)はどうしてできるのでしょう。
口腔内の細菌は、糖をエネルギーにして酸をつくります。この酸によって歯が溶けていき、虫歯になります。ですから、その対策としては、

  •  歯自身を酸に対して強くする→フッ素で虫歯を予防する
  •  細菌に対して糖を与えない→食習慣の確立、飲食回数のコントロール
  •  細菌が使うことのできない糖をとるようにする→キシリトール、リカルデント
  •  口腔内の細菌数を減らす→正しいブラッシングをする
  •  唾液の分泌を促進して口腔内を中性に保つ→よく噛んで食事をする、処方された薬の確認・変更の相談

といったことに注意して過ごしていただきたいのです。

歯の生え始めが特に重要

少し詳しく説明しましょう。虫歯は、

溶けて、溶けるのが止まり、再び固まるという、流動的な過程の病気です。

虫歯の流動的な過程を左右するパラメーターは、大別すると次の2つに分けられます。

  •  個体の感受性(虫歯にかかりやすいかどうか)
  •  細菌の活性

そこで、新たな虫歯の発生を予防するには、この個体の感受性を改善し、細菌の活性を低下させることによって、脱灰、再石灰化の均衡を回復することが大切になります。特に、歯の生え始めは、その後の歯の健康に対して、とても重要な時期です。
この頃に、虫歯をつくりやすい菌がすみつくのか、それとも虫歯をつくりにくい菌がすみつくのか、その違いが大きなポイントとなります。
なぜなら、一度すみついてしまった菌は、機械的な清掃などではなくすことができないからです。
したがって、乳歯が生えてきてから学童期(混合歯列期)にかけて、つまり3歳から11歳くらいの時期の口腔環境と食生活によって、その後の口腔内の細菌叢(細菌の集合体)は大きく左右されるのです。

虫歯を防ぐ唾液の働き

唾液は、噛みくだいた食べ物やプラーク(歯垢のこと)を洗い流したり、歯の再石灰化や、唾液そのものとプラークを中性にする働きで、虫歯に抵抗しています。しかし、睡眠時にはほとんどの唾液の分泌が止まります。
そのため、寝る前に飲食をした場合には、唾液によるプラークpHの回復が見られず、長い時間、脱灰が続くので、虫歯のリスクが非常に高くなります。
また、薬物の副作用で唾液の分泌が抑制されることもあります。そうした場合には、口腔内の清掃状態がそれほど悪くなくても、歯頚部(歯と歯肉の境目の部分)付近に虫歯が発生することが多くなります。

唾液分泌抑制作用のある薬

  •  利尿薬・降圧薬・抗ヒスタミン薬
  •  抗うつ薬・抗コリン薬・抗炎症薬
  •  鎮痛薬・気管支拡張薬・骨粗鬆症治療薬

これらの薬を服用している方は、歯医者さんにそのことをしっかり伝えることが大切です。

虫歯になりやすい歯

虫歯になりやすい所

歯には虫歯になりやすい部位があります。どこが虫歯になりやすいのか、それは口腔内の唾液の流れにも大きく関係しています。
口腔内の唾液の流れは、あたかも河の本流と支流のようになっています。そのため、大量の刺激唾液に洗われる部位もあれば、少量の安定唾液に常に洗われる部位、また十分な舌の運動なしには唾液の恩恵をほとんど受けることの できない部位もあります。
右の図は、口腔内で唾液の影響を受けることが少なく、したがって虫歯になりやすい部位を示したものです。こうしたところを、より注意してブラッシングすることで、虫歯を防ぐことができます。

また、上の奥歯(奥から1本目)と上の前歯の頬側に虫歯があったり、治療したことが多い場合には、その人の虫歯のリスクは高いことが予想されます。こうした場合には、定期検診でのフッ素塗布や、フッ素洗口液・ミラノールの使用、飲食回数を制限するなどの食生活の見直し、ブラッシングなどに注意が必要です。
また、年を重ねて歯の根の部分が見えてくると、そこはとても虫歯になりやすいので、特に注意が必要です。医療にかける時間とお金は、なるべく少ない方が良いでしょう。
だからこそ、今あるつめものやかぶせものを長持ちさせること、そのために必要な知識を皆さんに知ってほしいのです。

私たち大人に生えている歯の見えている所の大部分はエナメル質です。この永久歯のエナメル質に比べて、次の4つは酸に溶けやすい(虫歯になりやすい)のです。

  •  象牙質
  •  セメント質
  •  幼若永久歯(生えて間もない永久歯のこと)
  •  乳歯

そのため乳歯列期の幼児や、歯根面の露出が見られる方(歯周病にかかって歯根が見えている人、年を重ねて歯根が見えてきた人)は、よりいっそうの注意が必要だと考えられます。
このような部分の虫歯予防には、来院してのフッ素塗布や、ミラノールによるフッ素洗口が有効です。

フッ素で虫歯を予防する

虫歯は、脱灰・均衡・再石灰化という、溶けて、溶けるのが止まって再び固まるという、流動的な過程の病気だということは前にも述べましたが、最初の脱灰は、耐酸性の低い部分から始まります。
その後の再石灰化の際に固まる部分は、耐酸性が高まります。とくに微量のフッ素が存在すると、より耐酸性が高まります。
耐酸性が高まるというのは、酸によって溶けにくくなる、つまり虫歯になりにくくなるということです。つまり、脱灰と再石灰化を繰り返すたびに歯質の耐酸性が増し、成熟していくのです。
ちなみにこれは、子どもの頃は虫歯を数多く経験された方が、ある程度の年齢になると虫歯になりにくくなる理由でもあります。
このことから、虫歯予防により有効なのは、ミラノールによる毎日のフッ素洗口であることがわかると思います。
青年期から壮年期にかけてが、その時期です。歯の成熟には時間がかかるということですね。だから、毎日のフッ素の利用がより効果的なのです!
ミラノールはちょっと……という方は、歯磨き粉を選ぶ際に、フッ素が入っているものを使われると良いと思います。
年を重ねた方が虫歯で苦労することもありますが、こうした場合、虫歯になりやすい原因として考えられるのは、歯根面の露出以外にも様々な原因による唾液分泌の減少などが考えられます。
口の周りの筋肉のゆるみによって唾液の流れが変化し、歯の表面、特に歯頸部(歯と歯肉の境目付近)が唾液におおわれにくくなるので、再石灰化作用が生じにくくなるのです。
さらに、この部位には食べた物のかけらがたまりやすいので、相乗的に虫歯のリスクが高くなります。