義歯:スマートデンチャー・ソフトアタッチメント

多くの歯が失われた場合、義歯(入れ歯)により機能と形態を回復する必要があります
義歯のメリットはインプラントでは必要となる手術がないことですが、デメリットとしてクラスプ
(バネ)がみえてしまうことにより審美的ではなくなる、口腔内での異物感が大きいなどがあげられます

今回は2種類の義歯を紹介します

    スマートデンチャー・ソフトアタッチメント

    この義歯では新しい技術・材料を用いており、上記のデメリットを減らすことができます

  • メリット :審美的(バネがなく見た目が良い)・異物感が少ない・物が良く噛める
  • デメリット:治療期間が長い・義歯が大きくなる

  • スマートデンチャー :部分入れ歯の金具(バネ)がないものを指します
  • ソフトアタッチメント:茶筒と蓋のような二重冠(内冠と外冠)を利用し、
  •            クラスプ(バネ)が見えないようにした入れ歯

●術前術後の口腔内写真(義歯有)

●術前レントゲン写真

上顎の臼歯(奥歯)は歯周病や根の先端が化膿していることから重症であることがわかります
また義歯の支台歯(義歯のバネがかかる歯)にも大きな歯周病が生じています

●術後レントゲン写真

は再根管治療を行いました

根の先まで根管充填されている事がわかると思います

根管充填はMTAを使用しています

●治療前後の口腔内写真

この症例では

残存している歯(15本)全ての治療が必要でした。

上顎では左上3以外すべての歯に根管治療を行いました。
左上7にはソフトアタッチメント、左上4・右上5,7にはコーピング(歯に装着する金属のキャップ)、
左上1,2,3・右上1にはレスト(義歯の沈下を防ぐための維持装置)を用いてスマートデンチャーを作成。

下顎では左下3・右下3,4に根管治療を行い、その後にソフトアタッチメント
左下1,2・右下1,2には虫歯の処置後CR充填を行い、その後左下1,2にはレストを用いて
スマートデンチャーを作成。

上記の治療を行ったことにより、見た目と機能・長期安定性を兼ね備えた義歯を作ることが
できました。

治療費 7,190,000円(税込)
治療回数 98回 (5年間程度)
治療リスク 自由診療での治療におけるリスク・副作用を参照
根管治療を行ったには歯根破折のリスクがあります

    スイングロックアタッチメント

    両側遊離端の症例で、傾斜歯、捻転歯 など 通常の維持装置では適応困難な場合に有効なアタッチメント
    義歯に組み込まれている「金属製のアーム」が開閉する構造になっている義歯

  • メリット :義歯の動きが最小のため良く 噛むことが出来る
  • デメリット:クラスプ (義歯のバネ )が見えるので 審美的でない 、作製が難しい

この方は元々スイングロックアタッチメントの義歯を装着されていました
今回は咬耗による人工歯の減少と、適合が悪くなったため上下作り直しを希望されました

●術前術後の口腔内写真1(義歯有)

●術前レントゲン写真

左下4,5番の歯は根管治療をおこなう必要がありますが、すでに動揺がみられることと義歯を支える歯という点から、積極的な介入は行わず義歯を再製するのみという治療方針となりました
動揺はありますが、このスイングロックアタッチメントを使用することにより動揺歯が二次固定されて動きが少なくなります

上顎は総義歯のため、下顎のみのレントゲン写真です

レントゲン写真では左右が逆になります

●術前術後の口腔内写真2

この症例では

スイングロックアタッチメントの接触面積を最大にすることで義歯の安定をはかっています。
その代わりに見た目(審美性)が悪くなっていますが、元々この設計で作られた義歯を使用していたため会話などではクラスプ(バネ)が見えづらくなっています。

治療費 2,700,000円(税込)
治療回数 10回
治療リスク 自由診療での治療におけるリスク・副作用を参照
口腔内が清潔に保たれないと支台歯(残った歯)を虫歯や歯周病で失う可能性があります