歯を抜かない治療

破折編

抜かない歯医者には
「歯を抜かない」と「歯の神経を抜かない」の2つの意味が含まれています。
今回の症例は割れていても歯を抜かずに治療が出来た症例です。

図1 術前です

図1 術前

写真上1番右の歯が今回治療をしていく左上7番の歯です

図2 術前レントゲン写真

図2 術前レントゲン写真

この角度からだと破折はよく分かりませんので、角度を変えてレントゲンを追加します

図3 術前レントゲン写真 近心投影

図3 術前レントゲン写真 近心投影

この角度のレントゲン写真だと分かりやすいです

図4 クラウン除去後

図4 クラウン除去後

クラウンを外していくと破折部分は肉眼でも確認しやすくなりました

図5 ポストコア除去後

図5 ポストコア除去後

ポストコア(金属製の土台)を外すと破折が深刻なことがわかります、歯は3つに砕けている感じでした

図6 ルートセパレーション

図6 ルートセパレーション

上顎大臼歯は歯根が3つに分かれているので、それぞれの歯根を独立させていき更に破折の有無、破折の範囲などを調べていきます

3つの内の1つ(口蓋根)の歯根に破折が縦に深く入っていることが確認出来ました

図7 予後不良歯根の抜歯

図7 予後不良歯根の抜歯

口蓋根の破折は約3㎜です。歯根長は10㎜なので意図的再植(抜いた歯を治療して再度元の場所に戻す方法)は見送りました。

残った2つの歯根は感染根管治療とルートプレーニングを行って、ポストコアを再製し仮歯で歯肉の治癒を待ちます。

図8 根管治療終了・口蓋根抜歯終了時レントゲン写真

図8 根管治療終了・口蓋根抜歯終了時レントゲン写真

残すことが出来た2本の歯根は状態は悪くありませんが、歯を支える骨のダメージは大きいため慎重な治療が必要になります

図9 仮歯

図9 仮歯

歯肉の状態も落ち着いてきました

図10 最終印象時(咬合面)

図10 最終印象時(咬合面)

残した歯根周囲の歯肉も引き締まってきました、それぞれの歯根にはポストコアが装着されています

図11 最終印象時(舌側面)

図11 最終印象時(舌側面)

破折は歯肉縁下深い部分があったので少し出血しやすい状態が残っていますが、クラウンをそれぞれ独立させて作製することで改善していきます

図12 術後(咬合面)

図12 術後(咬合面)

今回のような割れ方をしていると連結による清掃性の不良から歯肉が落ち着かないことが多いため、今回は2つのクラウンを独立させています。

図13 術後(舌側面)

図13 術後(舌側面)

歯肉の状態も更に良くなっています。
今後は力の負担を調整しながら経過観察をしていくことになります。

最後に術前と術後の比較をしてみましょう

図1 術前

図1 術前

図13 術後

図13 術後

図2 術前レントゲン写真

図2 術前レントゲン写真

図8 根管治療終了・口蓋根抜歯終了時レントゲン写真

図8 根管治療終了・口蓋根抜歯終了時レントゲン写真

歯は割れていても10年前に比べて、さらに様々な方法で残すことが出来るようになっています。
また、歯を抜いてしまったとしても今はインプラントにより治療出来るようになりました。

「歯を抜かない治療」も「インプラント」も良い治療法です。当院でも両方の治療法を取り入れて成功率を更に上げることを実践しています。
現状を正確に伝え、患者さんの希望に添って治療方針を決めれば良い結果が出せるのが歯科の特徴だと思っています。