歯周病治療

補助用具の重要性

当院で3か月ごとのメインテナンスを受診中の患者さんの口腔内写真です  
①と②どちらがキレイだと思いますか?

①の方がキレイですよね!  
①と②どちらも来院してすぐに撮影した写真です(クリーニング前)
しかし①から約3か月後に来院されると②のようになっていました

検査の結果も比較してみましょう

深い歯周ポケットの変化はありませんでしたが、歯茎からの出血と磨き残しが大きく増加しています
※①と②、磨く時間は変わっていません(朝・夜30分程度)
一体何が起こったのでしょうか?

正解は「磨く道具の変更」です

①は様々な道具で歯の面だけではなく、
歯のカーブ、
歯と歯の間に溜まった
プラークを効率よく除去しています
(今までに歯科衛生士がブラッシング指導したことを行ってくれました)

②は同じ所を何度も磨いてくれたのですが、
歯ブラシが当たらない所はそのまま…といった状態でした

この患者さんはメインテナンス①から
メインテナンス②までの3か月間
“極細毛の歯ブラシで1か所200回くらいこすれば綺麗になるだろう”
自ら工夫して実践してきてくれたのですが、残念な結果となってしまいました

担当衛生士からのアドバイス その①

「歯磨きをするときに使う道具は歯ブラシのみ」という人は多いのですが 歯ブラシのみでは60%程度しか汚れを落とせないといわれています
磨くのにかけている時間は同じでも、磨きたい場所にあたっていなければ意味がないのです!
また、同じところばかり磨いている(オーバーブラッシング)と歯肉が下がる・傷になる・知覚過敏や歯が削れるなどの弊害が起こることも危惧されます

①をプラーク染色後の写真で見てみると

一番磨きやすい前歯の表側の写真です

何回も歯ブラシが当たっている歯面は光沢があり光っていますが、
カーブ中心にプラークが認められます

左上の奥歯の裏側です

よく見ると歯と歯肉の境目やカーブにプラークが残っています

右下奥歯の裏側です

下の奥歯の裏側は、舌もあるので特に磨き残しが起こりやすい場所です
歯の下側半分くらいはまったく歯ブラシがあたっておらず、厚いプラークが蓄積しています

担当衛生士からのアドバイス その②

「大人の虫歯は噛む面からではなく、歯の隙間、歯肉が下がって露出した根面などから起こります
>そして歯周病もその名の通り歯の周囲の歯肉から進行するのです
一番磨かなくてはいけないのは歯の表面ではなく歯と歯の間・歯と歯肉の境目です!

しかし前述したように歯の間や歯肉の境目は歯ブラシ1本で落とすのは困難です…

そこでメインテナンス①でこの患者さんが活用していた「補助用具」の登場!
補助用具の代表的なものがデンタルフロス(糸ようじ)・歯間ブラシ・タフトブラシなどです

1.デンタルフロス
歯と歯が接している面に糸を通すことによって、歯ブラシの毛先が届かない面のプラークを落とす
必要な長さでカットして指に巻き付けて使うものと、ホルダーに糸が付いた使い捨てタイプ(糸ようじと呼ばれるもの)がある
2.歯間ブラシ
フロスと同じく、歯と歯の間のプラークを落とすための道具
1本の針金の周りにたくさんの毛が付いたブラシで、隙間の汚れを掻き出す効果に長けている
フロスとの違いは、歯と歯の間に隙間がある場合に使用すること様々なサイズがあるので適したサイズの物を選んで使いましょう
3.タフトブラシ(インタースペースブラシ)
毛先が細筆の先のような形状をした小さなヘッドのブラシ
歯のカーブや歯と歯肉の境目、歯並びの重なり部分や孤立した歯の部分、また矯正具を装着している
部分など、ピンポイントで磨きたい細かな部分に適している

歯間ブラシの当て方

フロスの当て方

ホルダー付きフロスの当て方

担当衛生士からのアドバイス その③

「歯磨きの方法は今まで習ったことがない」と患者さんからよく聞きます
そして歯並びや磨き癖は人それぞれ違います
そのため闇雲に磨くよりも自分に合った磨き方・道具を正しく使用して限られた歯磨きタイムの中で清潔で健康な口腔内を保てることが理想となります
“たかが歯磨き”と思いますが日々のセルフケアが予防には最も重要です
補助用具の重要性を一度見直してみてみませんか?
★使い方がわからない場合はかかりつけの歯医者さんで聞いてみることをお勧めします!