むし歯・歯周病
予防プログラムを受けた方の変化

はじめに
岩田有弘歯科医院では、予防先進国スウェーデンで確立されたMTM(メディカルトリートメントモデル)という
医学的なアプローチによる予防を基盤とした診療スタイルを導入しています。

MTMとは
(メディカルトリートメントモデル)

MTMは、むし歯や歯周病のリスク要因を様々な検査で突き止め、その結果から病因を分析、把握した上で、一人ひとりの患者さんに合わせた予防プログラムを作り、必要最小限の処置を行いながら定期的なメインテナンスで健康を守り育てる一連の流れです。

では、具体的にどのくらい良くなれば健康を維持できるのでしょうか? 検査や評価の中にはメインテナンスに移行するための目標になる数値があります。

この数値が達成できているということは、お口の中がむし歯・歯周病の再発しにくい環境になっているということです。次のメインテナンスまでの間、病気(むし歯・歯周病)にならずにいられる可能性が高いと言えます。

予防プログラムを受ける前と受けた後でこの数値がどれくらい変化したのか
開院当初から現在まで、予防プログラムを受けた患者さんすべてのデータを集計してみました。

当院で一連の予防プログラムを受けた方の変化

●集計期間
2009/8/5~2015/9/17
●初診から再評価までの受診人数
90人
●再評価から、さらに定期メインテナンス移行
44人を平均値で評価

● むし歯・歯周病 両方

むし歯・歯周病の両方に関係しているのは磨き残しの歯垢(プラーク)です。磨き残しというと食べ物のかすなどと思いがちですが、様々な菌の集合体です。その中には虫歯菌・歯周病菌も多く含まれます。
磨き残し = 細菌を毎回の歯みがきで少なく保つ事でむし歯菌の出す酸や歯周病菌の出す毒素を減らすことができます。

● 歯周病

歯周ポケットとは歯と歯肉の境目の溝のことです。健康な歯肉では出血もなく、深さも1~2㎜ですが歯周病が進行してくると歯の周りに炎症がおき、歯肉が腫れて出血したり歯を支えている骨が溶けてポケットも深くなってきます。
4㎜以上の深いポケットになると歯ブラシなどのセルフケアではポケットの中まで綺麗に掃除することが難しく、歯周病菌も繁殖しやすい環境なのでどんどん増殖し、歯周病がさらに進行しやすくなります。
ポケット内の歯石やプラークなどを除去し、歯肉の炎症を落ち着かせる事により出血やポケットの深さの改善を図ります。

● むし歯

頑張って歯みがきをしていてもむし歯になりやすい人、あまり磨かなくてもむし歯になりにくい人… その違いは何でしょうか?
歯みがきはもちろん大事なのですが原因はそれだけではありません。
むし歯のリスクというのは人それぞれ違います。
以下のむし歯に関連する項目を検査してグラフにしたものがカリエスリスク
です。

唾液の分泌量
唾液の緩衝能(中和力)
むし歯菌の数
(ミュータンス菌)
むし歯菌の数
(ラクトバチラス菌)
一日の飲食回数
歯垢(プラーク)の量
フッ素の使用状況
う蝕(むし歯)の経験

このグラフは面積が大きいほどむし歯になりにくいということを表しています。
トータルリスクはグラフの線の外の点数で測ります。
(ムシ歯の経験は除く)

まとめ
4つの項目すべてで、予防プログラム開始前より後のほうが改善しています
特に初診 → 再評価で大きく改善している = 予防プログラムを受ける事で大きな病状の改善が見込めます
定期的なメインテナンスに来院している患者さんは更に良い状態になる事がわかりました
再評価時に目標値達成できなかった場合でも、当院で予防プログラムを受けたほぼすべての患者さんはSOT
(メインテナンス移行準備期間)で4つの項目すべてで目標値を達成できています
【磨き残し】 【歯肉の出血】 については平均値で目標達成していないことからこの2項目については後戻りしやすい事が予測できるので、さらにメインテナンスの重要性を来院時やHP上などで伝えていきます。